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スペースその10 | ウサネコ王国のミャーポン
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ウサネコ王国のミャーポン
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その10 お姫さまに超!ドキドキ
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 タカシが湯舟に浸かっていると、姫の声がしました。『体調を気使って、様子を見に来てくれたのかな?』と思っているとどうやら様子が違います。ぼやーっとした湯気のなか、脱衣所の方から歩いてきた姫は、どうやら一緒にお風呂に入るつもりのようです。
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「え?ヒロミちゃん。一緒に入るの?」
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「今、そっち行きますねー。」
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「ちょ、ちょっと待って。」
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 ネコのフリをしなければ、と焦るタカシ。しかし裸のヒロミちゃんと一緒にお風呂に入るなんて、もうドキドキでは済まされません。視線を逸らしながら、思わずこう言いました。
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「ねぇ、ヒロミちゃん。タオルくらい巻いてよ。人間の姿なんだからさ。」
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「どうして?」
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「とにかく、人間の姿なんだから、人間らしく行動しなくちゃ。」
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「うん。わかった。」
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 姫は不思議に思いながらも、脱衣所へ戻り、バスタオルを巻いて歩いてきました。そして、かけ湯をすると、そのままの姿で湯舟に浸かりました。
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「ねぇ。どうしてそんなこと言うの?ネコもウサギもいつも裸じゃない。私は今、人間の姿だけど、元はネコとウサギの混血だよ。いつも裸だから、別に恥ずかしいとか無いんだけどな。普段は、人間の姿を見られたくないから、服を着てるんだけどね。」
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「ダメだよ。人間の姿してるんだから。人間としてそういうところは、けじめをつけなきゃ。」
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「あ、もちろん、人間の前では人間らしく振る舞ってるよ。一緒にお風呂に入ったりなんかしてないよ。でも、タカシくんはネコだからいいかなー。と思ったんだけど…。」
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「相手が誰だからじゃなくて、人間らしくしなきゃ。」
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「はーい。」
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 タカシはちょっと気になることを、姫に聞いてみました。
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「ねぇ、…、ミャーポンとかとも、一緒にお風呂入ったりしてるの?」
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「まっさかー。王様と王女様の前以外で、フードを取ったのは、タカシくんの前が初めて。人間の姿を見せたことなんて無いもん。そうだ、タカシくん背中流してあげようか。」
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「え?いいよー。」
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「いいじゃん、いいじゃん。裸の付き合いだって。」
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 姫はそう言うと、洗い場のほうへとタカシを引っ張って行きました。
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「じゃあ、まず自分で洗って。」
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 と、姫はタカシにスポンジを渡すと、座ってバスタオルを取り、自分の体を洗い始めました。タカシはちょっと斜めに座り、見て見ぬフリをしながら、毛に覆われたネコである自分の体を洗い始めました。
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「背中流してあげるから、あっち向いて。」
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 タカシは姫に背中を流してもらいながら、『あーネコの姿とは言え、ヒロミちゃんと一緒にお風呂入ってるなんて…、しかも背中まで流してもらって幸せだなー。』とボーっとして少しニヤケてしまいました。
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「はい、次はタカシくんの番だよ。」
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 タカシはボーっとしています。
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「ねぇ。」
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 ハッと我に返ったタカシは、姫の言葉を聞いていなかったので聞き返しました。
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「ゴメン、何だっけ?」
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「だから、今度はタカシくんが私の背中を洗って。」
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 もう、タカシは天にも登る勢いです。でも、まだ小学生。恥ずかしさのあまり、姫を直視することはできませんでした。ふたりは体を洗い終わると、姫はふたたびバスタオルを巻いて、湯舟に戻りました。ようやくタカシは正気を取り戻し、少しずつ気づかれないように、謎に迫ることにしました。
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「さっき、人間の前ではって言ってたけど、人間に会ったことはあるの?」
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 すると姫は意外なことを聞かれたのか、変な表情でタカシを見ました。
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「あるよ。だって私もともとはウサネコだもん。人間界とウサネコ王国を自由に行き来できるもん。タカシくんもそうでしょ?」
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 姫は何かに気づいたように表情が変わりました。
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「あ、そうか、今日初めて来たんだから知らないよね。」
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「その時は、人間の姿で行ってたの?」
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「そうだよ。もうこの姿になって結構経つからね。何度も遊びに行ったなぁ。」
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 タカシはイマイチ確信に迫る質問ができません。どう言ったら自分が人間と気づかれずに、自分の初恋の裕美ちゃんと、姫が同一人物であるかを聞き出せるのか、それは、それほど簡単なことではありませんでした。
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「じゃぁ、もう出ましょうか。タカシくん、先に出て、さっきの部屋行ってて。」
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「わかった。」
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 タカシは、お風呂から上がると、ブルブルッと何度も水気を払いました。それでもう、水がポタポタたれることはありませんでした。そして、脱衣所のバスタオルをひとつとると、それで体を拭きながら、そのまま部屋へと戻りました。
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 部屋へ戻ったタカシは、お風呂でのことを思い出しながら、ボーっとしていました。『何でバスタオル巻かせちゃったんだろう。本当は見たかったなぁ。いやいや。結局洗うときもしっかりとは見られなかったもんなぁ。やっぱり恥ずかしいもんなぁ。』と、悶々としていました。
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『コン、コン』っとドアのノック音がしました。すると、フードをかぶった姫は一言、
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「じゃぁ、また明日おやすみ。」
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 と言うと、そのまま行ってしまいました。タカシはちょっとガッカリしましたが、お風呂に入ったことで、姫の自分に対する言葉使いが変わったことが、嬉しくなりました。
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『王様の言うとおり、裸の付き合いって大事だな…。いろんな意味で…。』
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