メニューバー
スペース
スペースその8 | ウサネコ王国のミャーポン
スペースTOPSTORYウサネコ王国のミャーポン > その8
わいるどぷらんトップへ
スペース
ウサネコ王国のミャーポン
スペース
その8 ヒミツのお姫さま
スペース

スペース
「おふたり、席にお座りください。」
スペース
 ミハエルさんにそう言われ、王様たちのことが気になりましたが、タカシとユウジは席に戻りました。姫の声が聞こえなくなると、王様と王女様は、タカシたちのテーブルの右側、ステージ前に置かれたテーブルに座りました。タカシから見ると、ミャーポンの向こうに横にテーブルがおかれていて、向かって右端に王様、左端に王女様が座っているという状態です。
スペース
 ステージ上では、ミハエルさんが司会を続けています。
スペース
「それでは、みなさんグラスにマタタビ酒、ニンジン酒を注いでください。」
スペース
 ミャーポンとタカシは、お互いにマタタビ酒をグラスに注ぎました。いい香りがあたりに漂います。
スペース
「それでは、タカシさんとユウジさんに乾杯!」 
スペース
「カンパーイ!」
スペース
 あたりは急にザワザワしはじめました。王様と王女様は立ち上がり、タカシのところへやってきました。ちょうどタカシがお酒に口をつけようとしたとき、王様が話しかけてきました。
スペース
「タカシさん、ウサネコ王国へようこそ。どうだねこの国の感想は。」
スペース
「そうですね。すごくいいところですね。空気は美味しいし、サンマのいい香りがするし。」
スペース
 ちょうどそのとき、焼けたばかりのサンマが運ばれてきたのでした。
スペース
「面白い方だ。」
スペース
「ありがとうございます。我々ネコにとってここは、パラダイスですね。」
スペース
 そう言うと、王女様が耳元でこう言いました。
スペース
「私と王は知っていますからね。あなたのこと。でもその調子で、ネコとして上手く振舞ってね。」
スペース
 それはとても優しい声でした。そう言うと王女様は笑顔を見せました。『キレイな人だなぁ。』ん?『キレイなウサギだなぁ。』
スペース
 王様が、今度はユウジと話し始めたとき、ステージの脇から長袖にロングスカート、そしてフードを深くかぶった女の子が歩いてきました。その子は、王様と王女様の席の間に座りました。すると王様と王女様が席に戻り、その子を紹介しました。
スペース
「タカシさん、ユウジさん。先ほどは失礼した。この子が姫のヒロミだ。」
スペース
 タカシはその名前にビックリして、姫を見つめました。そのフードの中には、確かに人間の女の子…いや、初恋の裕美ちゃんの姿があったのです。タカシが思わず、
スペース
「あ、裕美ちゃ…。」
スペース
 と我を忘れて、イスから立ち上がり、話しかけようとしたとき、『ヤバイ!』と直感がきたミャーポンは、
スペース
「タカシ、乾杯の後はまず酒を飲めー。」
スペース
 とふざけたフリをして、タカシにマタタビ酒をグビグビっと一気に飲ませました。もちろん今までお酒を飲んだことがなかったタカシは、そのまま意識がもうろうとしてきました。
スペース
「ちょっとミャーポン、何やってるの。」
スペース
 ぼんやりとした意識の中で、聞き覚えのある裕美ちゃんのような姫の声がしました。
スペース
「だって、乾杯した後は、すぐ飲むのが礼儀だろ?」
スペース
「もう、ミャーポンったら。あ、タカシさん大丈夫?、タカシさん!」
スペース
 ミャーポンと姫の声が遠のいていきます。タカシはゆっくりと暗闇の中に落ちていきました。
スペース
 どれくらいの時間が経ったでしょうか。『なんかー重くて息苦しいなぁ…ハッ!』と気がつくと、タカシはベットの上で横になっていました。見ると、傍らに座っているミャーポンが、タカシのお腹の上にもたれかかっていました。どおりで重いわけです。
スペース
「ん…。タカシ気がついたか…。どうだ気分は。」
スペース
 ミャーポンが目をこすりながら起き上がりました。タカシは少し頭痛がしました。
スペース
「ちょっと頭痛いなー。」
スペース
「後ろに水置いておいたから、飲みたかったら飲みなよ。とりあえず気がついてよかった。じゃぁ俺一度帰るから。ゆっくり休むんだぞ。それと、さっき姫に裕美ちゃんって話しかけようとしただろ。」
スペース
「ゴメン。つい我を忘れちゃって。だって姫が裕美ちゃんだとは思わなかったんだもん。」
スペース
「言っとくけど、お前はネコだ。人間のタカシじゃないんだからな。そうしないと姫を助けることはできないんだから。それに、あの姫が裕美ちゃんかどうかは、俺にもわからない。わかったな。」
スペース
「う、うん。わかった。」
スペース
「じゃぁ、俺帰るから、おやすみ。」
スペース
 そう言うと、少し疲れた様子のミャーポンは立ち上がり、フラフラと部屋を出て行きました。
スペース
「おやすみ。」
スペース
 それから、タカシはちょっと目が冴えてしまったので、あれこれと布団の中で考えていました。『裕美ちゃんがウサネコ王国のお姫様のわけないか。でもそっくりだったなー。どういうことなんだ?しかし背がネコと同じだったな。うーん。』とそのときです。
スペース
『コン、コン。』
スペース
 タカシが寝ている部屋のドアを、ノックする音が聞こえました。
スペース
「タカシさん、大丈夫?入ってもよろしいですか?」
スペース
 姫の声です。思わずタカシはビクっとしましたが、ミャーポンの言葉を思い出し、『平常心、平常心。』と心の中でつぶやきました。
スペース
「どうぞ。」
スペース
 するとドアが開き、宴の時と同じくフードを深くかぶったままの姫が入ってきました。
スペース
「先程はミャーポンが失礼をしまして、ゴメンナサイね。」
スペース
「あ、いや、姫さまは何も悪くないんですから、謝らないでくださいよ。」
スペース
「いつもミャーポンはああなんですよ。でも、一緒にいると楽しいんです。」
スペース
 暗くて、姫の顔は見えませんでしたが、声が明るくなり笑顔になったような気がしました。
スペース
「そうですね。面白いヤツですよね。」
スペース
 タカシはいきなり切り出しました。
スペース
「ところで姫さま。」
スペース
「何ですか?」
スペース
「どうして顔を隠してるんですか?」
スペース
「え…。」
スペース

もくじへスペース次へ
スペース
メニューバー左プロフィール区切りニュース区切り日記区切りコラム区切り物語区切りリンク区切りメールメニューバー右
Copyright(C)2007 TOSHIKAZU KAWAI All Rights Reserved.
スペース
スペース
わいるどぷらんどっとこむ TOPPY.NET